続 杉並はもうすぐ亜熱帯
外川 信晃(昭和51年法)
三年程前会報に、「杉並はもうすぐ亜熱帯」と云う題で、ナガサキアゲハの分布の北上と、地球温暖化について、書かせて頂きました。その後も温暖化は進み、昨秋は、私が普通部生の頃に、三重県迄しか分布していなかった、ツマグロヒョウモンと云う、タテハ蝶科のチョウを、杉並区内で数多く見る事が出来ました。
ツマグロヒョウモン(平成20年10月西荻窪にて撮影)
三年前、私は、生物の異常な北上を目の当たりにし、空恐ろしさを覚えて、温暖化防止を訴えました。しかしこの頃、温暖化、本当に人類のせいなの、本当に恐ろしい事なのか少し疑問に思い始めています。確かに私たちの生活している21世紀は、地球は温暖化しています。しかし温暖化は、地球にとって初めての事なのでしょうか?古くは北極と南極は、逆だったそうです。北海道には、恐竜もナウマンゾウも居ました。ライチョウは関東平野を走り回ッていましました。奈良・平安時代は、今よりもっと暖かく、鎌倉時代は寒く、室町・桃山時代は暖かく江戸・明治時代は寒かったと云われています。
 
この文を書きながら、大学−年の時、塾の名物教授 西岡秀雄先生の人文地理で履修した「気700年周期説」を、思い出しました。現代の温暖化は、本当に我々人間の生活だけに起因するものなのでしょうか?先生は、人類のもたらす影響より、太陽の活動エネルギーの影響が大きいと説かれています。つまり周期的に、地球は、寒暖を繰り返しているのです。我々人間にとって気候の影響は切実ですが、地球にとってぱ何ら大した問題ではないのです。何時かは、人類は滅びまナす。種は永遠に繁栄する事は有りません。人類の後には、どんな生物が繁栄しているのでしょうか?昆虫でしょうか?植物かもしれません。一説では、イカの仲間が地上に上がり、地球を支配するとさえ云われています。地球は常に環境を変え、その時の環境に適応した生物が繁栄しているのです。
石垣島 (2008.11)
10年程前まで魚の楽園たった奄美・沖縄の美しいサンゴ礁は、高水温の影響で、サンゴが白化して骨格だけが散らばる墓場となってしまいました。しかし昨年奄美や石垣島の海に何度か潜った時、少レづつ新しいサンゴが芽生え始めているのを、あちこで見かけました。つまリ高水温に強いサンゴが生き残り、子孫を増やし始めたのです。
奄美大島(2009.06)
自然は、そんなに柔ではありません。したたかに生きる生物達と共に、我々も出来るだけ急激な温暖化を防止する努力をしながら、地球の環境の変化に対応して行く事が、大切だと思います。
珊瑚礁(石垣島・奄美大島)の写真はいずれも ご本人がスキンダイビングで撮影されたものです。


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