杉並三田会ホームページ
杉並の風

目下の老化防止法   

                                            岡本知三(S38経)   
   
会社生活に別れを告げた60歳代の半ば、残された人生の中でどうしてもやっておきたいものの一つに外国語の習得があった。仕事柄、海外生活とは全く無縁であった人間にとって、これは新鮮な関心事でもあった。それがいつの間にか、50年来、続けているラジオ体操(但し、自己流)と並んで、今や、私にとっての有力な老化防止法となっている。 
 最初は、怖いもの知らずから、英・独・仏・伊・中国という我々が何かと影響を受けてきた国の言語を同時習得できないかと試みたが、当然の如く、数か月で挫折した。そこで、ある程度のレベルに達するまでは、同時学習は二か国までと決め、習得順位を、多少は使ってきた英語を最下順位に、個人的に親しみのあったドイツ語を第一順位としてやり始める事にした。
退職後の翌年、65歳にしてミュンヘンの語学学校への短期留学からスタート。筆記試験で割り振られたクラスには、殆どがドイツ企業の就職を予定しているヨーロッパの若い男女、日本から来た老人が珍しかったのか盛んに話しかけてくるが、何を言っているのかチンプンカンプン。2,3週間経って漸く耳が慣れ冗談も通じるようになった。
ドイツ語については、その後、専門の学校に通い現在に至っているが、最近は、クラスメート達との授業後の懇親会の方が登校の主たるモチベーションとなってしまった。一昨年暮れ、検定試験を受けたところ、上級の証書が送られて来たところをみるとそれなりに学習効果が上がっているのかも知れない。
 
   写真1: ドイツでの先生とクラスメート        写真2: クラスメートと私
   
並行して、2年半前から、フランス語を習得しようと専門学校に通っているが、全く経験の無い言語を70歳近くで始めるのは、大仕事。枯渇した記憶力と集中力をフル動員しながら、昨年夏、一応は中級コースを修了した。


写真3:時々、通っていた現地のカフェーレストラン様々な客人と話しながら現地語を習得。
若い頃、シャンソンに凝っていた事もあり、フランス 語については、ある程度のレベルまで行こうと思って いるが、ゴールは遠い。
今は亡きイブ・モンタンやルッシエンヌ・ドリルの歌 を情感込めて歌えるようになれるのは一体、何時の 事だろう?ところでこの調子で行くと、中国語に取りかかれる頃には、日本語の方も、呂律が回らなくなってしまっているのではと心配である。周囲からは、何故そんな堅苦しい道楽をやっているのかと揶揄されているが、やってみると言語の世界は、中々、奥深い。言葉の成り立ちの違いや共通点、言語間の相互交流と変遷等々、比較言語の面から見ても結構面白いものである。いずれにせよ、何事も楽しくやる事こそ、最大の老化対策だと思っている。



-戻る-   ページTOPへ

suginami-mitakai.com