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花を見るのか、人を見るのか。~皇居乾通り一般公開
 西山 秀比古 (H14 法)
 
たまたま、インターネットでニュースを見ていると「皇居乾通り一般公開」が眼に飛び込んできました。
 そういえば、しばらく前に一般公開がされると出ていたっけ。貴重な機会だし、良い写真が撮れるかもしれないから行ってみようか。というわけで、行ってきました。「乾通り」。 
そもそも、「乾通り」とは、宮内庁庁舎前から皇居東御苑北西にある乾門に至る乾濠及び蓮池濠沿いの通りで、そこには、さくら類、もみじ類、アカマツ・クロマツ類、その他広葉樹の二百本を超える樹々が立ち並んでいます。
 これ迄一般公開されていないものの、春の桜の頃と秋の紅葉の頃には特に美しい一帯とのことで、様々な皇居の姿を見てもらいたいという天皇陛下の意向を受け、陛下の傘寿を記念して公開されたものです。 
 当日は、空もきれいに晴れわたり、暑いくらいの陽気でした。
 さて、坂下門前に到着すると、とにかく、人、人、人です。それもそのはず、報道によると、この日は、公開期間中の最多の9万人を超える人が訪れたそうです。

   
 写真をご覧いただければ、様子が分かるかもしれませんが、とにかく大混雑で、ゆっくりと花を愛でるといった状況ではありません。立ち止まる余裕もなく、漸進しながら、右に左に写真を撮る始末です。
それでも、丁度見ごろを迎えた桜がしとやかな姿を見せています(写真①)。 
     写真①:宮内庁庁舎裏
     大混雑の中での写真撮影
 
 とりわけ、道灌濠脇の枝垂れ桜(と思います。)は、そのあでやかな色合いが一際目を引き、多くの人が立ち止まっています(写真②)
  
写真②:道灌濠脇の枝垂れ桜(?)
一際多くの人が集まる 
  ただ、これ迄これだけ大勢の人が押し寄せたことの無い一帯ですから、桜も濠も、些か戸惑っているようにも感じられます(写真③)。
 5日間で38万人余が訪れたとのことで、それにしても、日本人(自らも含めて)は花見が好きだし、初物(初公開)に弱いと、感じさせられました。
写真③:道灌濠を臨む
普段の静寂な様子が伺われる
 最後に、私がこの時期になると思いを致す一首を、ご紹介致します。
   
     こがねゐの
            里ちかけれどこの春も
                  人傅(ひどづて)にきく花ざかりかな


                                   (明治天皇御製 明治二十五年)
 
明治天皇が花を観に行く暇(いとま)も無いと嘆いているようでもあり、その味わいが好きな一首なのですが、この度の花を巡る狂乱も、多くのひとびとが貴重な機会に恵まれて花を愛でることが出来たことを思うと、誠に喜ばしい情景に見えてくるものです。
 
*皇居乾通りの概要については、以下の宮内庁ウェブページを参照。
http://www.kunaicho.go.jp/event/sanjyu-kinen.html
 




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