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杉並の風
      
温泉黒卵だけじゃない

  坂田 進  (S45年工)
 
動かざること 

北海道の室蘭市から国道37号線を北西にドライブし、伊達市で北に進路を変えるとやがて前方にごつごつした山頂の有珠山が姿を現します。その右手に赤い異様な塊が立ち上がっているのが見えます。
1943年の12月中旬までそこはなだらかな畑の続く丘陵地でしたが、月末になると地震や泉の水が温泉になってしま う出来事がおこり、あれよあれよという間に高さ175mの溶岩ドームができたそうです(正確には約1年9カ月掛かった)。

これが昭和新山の誕生で、今はその麓から真近に見ることができます。ロープウェイで有珠山中腹の展望台まで登り、見下ろすと赤茶色の大きな大地の瘤といった感じです。ちょっと足を延ばし有珠山の外輪山を半周すると、数度の噴火でできた奇岩やカルデラなどダイナミックな火山の地形や噴火湾の眺望や北国の草木が、遊歩道の左右に数メートル下から上がる噴気とともに楽しめます。

呪 文 

“パホイホイ”という何かのマジナイのようでもあり、漫画のギャグのようでもあるハワイ語があります。れっきとした学術用語として登録されていて、溶岩の流れる状態を表しています。火口から湧き出て、水のように滑らかに、ただし溶岩なので真っ赤な川となって流れ下ってゆきます。川の水と同様にヒシャクでくみ上げることができるそうです。実際は高温で危険な行為ですから真偽は不明です。粘度の低い溶岩の表面が滑らかにまたは縄状に冷えて固ったのがパホイホイで、ごつごつとした塊になる場合は“アア”と呼ばれます。古より火山と関わりの深い人たちの生活から生まれた言葉です。
                                                    
 
伝 記 

前出の昭和新山は、当時近くの郵便局長であった三松正夫さんが私財を投じて火山の所有者となり、火山活動を観察し研究に貢献したそうです。
  小宅の棚にはもう一人火山の持ち主が登場する本があります。彼は活火山を2つ、休火山を1つ持っていて、火山の爆発を防ぐため念入りに煤払いをするそうです。ただし彼の火山は地球上ではなく、小惑星B-612番であろうと著者サン=テグジュペリは言っています。(岩波書店、内藤濯 訳、星の王子さまp44) 火山が登場する物語は多くないようですが、グスコーブドリの伝記(宮沢賢治)では、 主人公は冷害から農家を救うため身を投じて火山を噴火させます。アメニモマケズで成りたいと賢治が言った“サウイフモノ“として描かれています。
自然は災厄をもたらすものでもあります。火山は防災対策が重要ですが、一方では温泉、黒卵だけでなく、地球内部のエネルギーがもたらす様々な顔を見せてくれます。 
    
 
 
 




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