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杉並の風
      
 身近な自然に癒されて
 野角みどり (S46文)
 
  3月頃、「コスズメバチ」が毎日庭を旋回していました。軒下に巣を作られたら大変と思い注意はしておりましたが、その後すっかり忘れておりました。ところが6月頃、ツツジの横を通りますと、枝に触れるたびに「ブーン」と音がします。もしやあの蜂ではとツツジの中を覗くと、何と備前焼のとっくりを逆さにしたような巣があり、とっくりの口からコスズメバチが出入りしています。区役所の緑地課に電話をし、相談したところ、早速退治しに来てくださいました。この時期はまだ女王蜂が一匹いるだけなので、家庭用殺虫剤を入り口に吹き付ければ良いとのことでした。 
 
  ある朝、家の中に珍客が迷い込んで来ました。巣立ったばかりの「メジロ」でした。カメラを持ちに行って戻ると、影も形もありません。がっかりしていると、外で「ピー」と鳴き声がしました。その声に呼応するように「ピー」と大きな鳴き声が私の座っている椅子の下から聞こえてびっくり。まだ中にいたのです。
外に放してやると、ハナミズキの枝に止まり、親鳥がそばに飛んで来ました。一件落着となりました。
   
 5月の信州戸隠で「エナガ」の巣から親鳥が出て来ました。卵を温めていたのでしょうか。以前、練馬光が丘のバードサンクチュアリにエナガの巣が展示されていました。苔で形作った巣の中に、鳥の羽が沢山敷き詰められてふかふかの羽毛布団状態でした。親鳥が何回往来して作り上げたのでしょうか。
ヒナを迎える愛情に感銘を受けた覚えがあります。
   
妖艶な香りと純白の華麗な一夜花に魅了され、10年余りが経ちました。その名も「月下美人」。待ち針の頭くらい小さな花の芽が、じっくり日にちをかけて大きな蕾になります。それが開花間近には、一旦斜め上向きになり、やがて水平になると、闇夜に存在を知らすべく芳香を放ちながらゆっくり開き始めます。夏は直射日光を避け、冬は8度以下にしないよう心掛ければ、大変育てやすい植物です。葉でも茎でも土に直接挿せば、根が伸びてきます。増やすのも簡単です。見事な花の割には原始的な植物です。
 若い頃は見過ごしていた身近の自然から、癒され、そして学ぶことも多いと感じています。 
 
 
 


 
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