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 モンブラン登頂の思い出
    岩崎 静江(S32 共薬)
 
  1991年以降海外を含め多くの山に親しんで参りました。その中で最も印象に残っているモンブラン登頂の思い出を披露させていただきます。
 
     50代の半ばにようやく夫婦二人で旅行をする余裕が生まれ、まず最初に選んだのは学生時代エミール・ジャベルの「一登山家の思い出」を読んで以来ずっと憧れ、心の隅にあったヨーロッパアルプスでした。
1991年に初めてグリンデルワルト,ツェルマット、シャモニーを回るツアーに参加しヨーロパアルプスの想像以上の美しさに息をのみ、その威容に圧倒されました。
 
コスミック小屋から
モンブラン(4808m)
 翌年にはモンブラン山麓を一周するツールドモンブランのツアーに参加,更に翌々年4千米峰のブライトホルン,アラリンホルンに登頂するツアーに参加、雪山に登れるという自信がつき、「還暦記念にモンブラン登頂」の夢を抱きました。それから2年間日本で冬期の八ヶ岳、槍ケ岳、谷川岳、富士山等で雪上歩行訓練に励み、その後ヨーロッパに夫婦二人だけで1か月余り滞在して現地ガイドを頼み、ツェルマットでポリュクス、シャモニーではモンブランドタキュール、プチベルト、フローリア、イタリヤのグランパラディ等多くの4千米峰を登りトレーニングを重ねました。高度順化は帰国後の11月にエベレストを眼前に望むネパールのカラパタール(5545米)へ登るツアーに参加万全を期しました。
  



 タキュール氷河から
モンブラン
      
1995年60才の7月23日、夢であったモンブラン登頂をめざしガイドと3人でエギュードミディのケーブル山頂駅からコスミック小屋に下り宿泊、登山家然としたヨーロッパ人ばかり100人程でごった返す小屋に入った時はとんでもない心得違いをしたのではないかと不安に震えました。夜中の1時半、高ぶる気持ちをおさえて出発、空の星と見まごうばかりのヘッドライトの列が点々と続いています。白々と夜が明けていく中,モンモディの急斜面を登るころから息も絶え絶え、夢遊病者のように死ぬかとさえ思いながらやっとの思いで8時20分念願であった広い頂上に立ちました。 
クーベルクル小屋からグランジョラス 
   
 快晴!まさに360度の大展望、遠くマッターホルン、モンテローザ等ヨーロッパアルプスの名峰が雲海の上に浮かぶ美しい光景は筆舌に尽くしがたく、夫と手を取り合い感激に浸りました。帰路はボソン氷河を下る予定が雪崩の危険があるため往路を辿り再びエギュードミディへ。ミディの急坂、90度もあるかと思える急登によく耐え12時30分に帰着、往復11時間の山行が無事に終わりました。
 
 
モンブラン山頂から 正面 グランジョラス
(4208m)
 遠くにマッターホルン(4478m)
 
それから毎年スイス、フランス、オーストリア、イタリヤの山々を登りまくっているうちに夫は健康を取り戻し、私も足腰が鍛えられその後各地への彷徨の始まりとなりました。


 

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