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杉並の風
      
 ライデンとジン
  竹下妙子(S40 商)
 
 四月初め、桜も終わってしまった羽田からオランダ・ライデン大学に留学している孫を訪ねる旅に出た。ロンドンで仕事をしている三女もライデンに先行し出迎えてくれ、アムステルダム駅から電車で30分、無事に落ち着いた町ライデンに到着。翌日は、年に八週間だけチューリップのために開園するというキューケンホフ公園にバスで向かう。  
   ライデンの町にて、孫と
  総面積32ヘクタールの広大な敷地に大ぶりな ヒヤシンス、たくましくさすがオランダの感がある桜、そして種々な色・形のチューリップが大量に見事に咲き誇り、絵画を見るような景色を満喫してライデンに戻る。この日は夏が来たかと勘違いする程の気温であった。 
 キューケンホフ  
 夕方から私の74歳の誕生日を娘と孫が、ライデンで有名なステーキハウスで祝ってくれるという。店に入ると、様々な形のナイフが額に飾られているのに目を見張る。と同時に、隣のテーブルでは両手で抱えた方が良いような大きなブランデーグラスに、30cmほど上から管を用いて何やら液体を注いでいるのが目に入る。  
  ジントニックを注ぐ 
 「あれは何ぞや」と錆付いた英語で尋ねると(オランダでは英語がよく通じる)、「ジン・トニックであります。あの棚を見てください。あれは全部ジンであります」と指さす棚には十数本の酒瓶がとりどりの形で並んでいる。「では是非私にも!」と所望しワクワクしながら頂戴した。
その味は、かって若かりし頃に味わったジン・トニックとは違うさわやかな初夏の味そのものであった。
「お土産に差し上げましょう」と手渡された可愛らしい形の小瓶とトニック・ウォーターを大切に持ち帰り自己流で作ってみたが、さわやかに美味しく、満足した私はジンのとりこになった次第である。
  そこでジンについて少し勉強してみた。
17世紀中頃、オランダ・ライデン大学のシルビウス教授は東インドに働くオランダ人を熱帯性熱病から守るためにネズの実“juniper berry”をアルコールに漬けて蒸留し、利尿剤として開発した。最初はライデン市内の薬局で作られていたが、その独特な爽やかな香りと値段の安さから人気を博し、国民酒としてオランダ全土に広がっていった。
  ライデン大学付近 
 1689年に、オランダからオレンジ公ウィリアムを国王ウィリアム三世として迎えたイギリスに、ジンの大好きな王の手によってこの酒の製法も伝えられ、イギリスの人々は新しい国王と新しい酒をよろこび、全土に広がったという。その後イギリスではこのジュネバジンを応用して、イギリス産ジンとしてドライジンを作ったのである。
 日本でジンといえば大方このドライジンであるが、近頃ではインターネットでオランダ・ジュネバジンも入手できると聞く。
私もネットを駆使して、懐かしいライデンの味、オランダの想い出に乾杯してみようと考えている。
  
   ライデンの町
 


 

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