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杉並の風
      
 クラシック音楽活動と日本の未来 
  大久保けい子 (平6文卒)
 
 クラシック音楽への親しみは、幼少期から 趣味としてヴァイオリン、ピアノを学んできた。米国滞在中に本格的に学んだピアノで、帰国後(社)才能教育研究会に所属し、ピアノと英語で後輩指導をしていた頃、断続的に学んでいた声楽で舞台に立つ機会を得た。慶應の仲間が英国のロスチャイルド家と縁戚にあり、シャルロッテ姫の日本公演の全権を委譲されたからだ。
 1998年10月、シャルロッテ・ド・ロスチャルド姫と共演し、旧ヤマハホールで念願の声楽家としてデビューした。シャルロッテ姫は、ミラノ音楽院出身でオラトリオに精通し、音楽表現も極上のソプラノ歌手であった。大の親日家でもあり、日本の抒情歌集のCDもある。
 デビュー後は、国際芸術連盟・全日本演奏家協会の会員となり、サントリー小ホールやオペラシティーリサイタルホールのガラコンサートに出演、サロンコンサートやパーティー等で歌ってきた。2012年には、ソロリサイタル、2013年コンクール入賞、ここ5年は荻窪音楽祭に出演している。これはクラシックや日本の歌の普及活動としてのボランティアの一つであり、今年も11月11日午後、杉並公会堂小ホール出演が決まっている。  
   サロンコンサートにて 
 

荻窪音楽祭 
前後するが2011年から「日本抒情歌を歌う会」を主宰し、「赤とんぼ」や「浜辺のうた」のような懐かしい歌をお母様方に歌ってもらい、子供たちにそれを伝えてほしいという願いをこめている。 親子関係における昨今の悲しい出来事を見るにつけても、親が子育てを楽しめるよう、経験者が配慮をこめて伝えていきたい。というのは、「ふるさと」 の一番で、「うさぎ追いしかの山~」とあるが、これを若い人は「美味しい兎がいるあの山~」と誤解していたりする。
日本語の歌詞には、日本人の魂が宿っているのと、明治、大正、昭和と受け継いできた大切な原風景が残されている。日本の村や町の様子もわかり、歴史も感じられる。詩のことばは歌っているうちに自然と日本を知るようになり、日本人としての「魂」が芽生え、心がなごみ、元気もでてくる。ことばには魔法の力があるようだ。日本人の誇りも感じることができて、いいことづくめである。  
  「日本叙情歌を歌う会」指導風景 
 

クリスマスコンサート・教会ホールにて
最後に、歌は腹式呼吸であるから、吐いたり、吸ったりしながら、横隔膜が動き、それにつれて内臓も動くので、意外と体の内側の筋肉を使う。故に健康寿命を延ばすのはまぎれもない。ストレス解消はもとより、歌った後の心身がリラックスした感じは清々しい。カラオケや合唱があちこちで盛んなのは、とても良いことだと思っている。ただ、歌う場所が欲しいけどカラオケは苦手だとか、合唱のようにきっちりとした練習はきついという方には、サロン的な「うたう会」はよいのかもしれない。
 
 歌うための姿勢や呼吸法は、まじめに取り組むと、体の色々な部分の柔軟性や適度な筋力も必要となるので、これだけでも十分なアンチエイジングとなると思われる。私自身は、100歳まで舞台に立つことが目標であり、続けている訓練のお蔭で、声の高いパートが出てきている。昨春は、ランメルモールのルチアを歌い終えた。良き師匠のお蔭でコロラトーラのレパートリーが増えているので、アンチエイジングの証になれば嬉しい。  


 

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