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 「門前の小僧」お歌の手習い 
 吉田 眞一郎(42法)
 コーラス同好会ヴィエントに入って、まだ1年余。歌唱は「門前の小僧習わぬ経を・」のレベルですが、何故か、大先輩から、本欄に書くようにとのお声で・・。自分の「歌」との関りを、少し振り返ってみようと思います。
私は鎌倉市に住んでいました。近隣に、高名な音楽評論家の吉田秀和氏が住んでいて、同じ吉田性なので、年賀状が間違って配達されたりしました。思うに、氏の音楽評論は、技巧評に偏せず、曲の欧州の歴史、文化的背景に視点を置くもので、私の好みでした。氏の愛好する音楽は、虚飾、人工性を排した、自然な真実性で、特にヤナーチェックを好んだ由縁ですね。氏の師匠の小林秀雄の評論とも通底・・。アッ横道に。
私は音楽好きで、幅広く聴いて来ましたが、歌う方は、仕事仲間と夜の酒場でカラオケを歌うばかりで・・。元々、地声が細く、好きな高音の歌を歌うと声が枯れる始末でした。
鎌倉に多い、ライブハウスでジャズを聴き、ジャズバーで、ウイスキーを飲みながら、LPの女性ボーカルを聴くのが黄金の時でした。お気に入りは、アニタ・オデイの「バークリー・スクェアのナイチンゲール」というバラード。ハスキーボイスでスローに歌うと、‘60年代米国の田舎の雰囲気がながれます。カントリーミュージックと似通う面もあり、源流のケルト文化、音楽に惹かれ、アイルランド大好き人間になった原点です。
60歳台の時、「鎌倉男声合唱団」に参加。塾の先輩もいて楽しいものでしたが、早稲田グリークラブOBが多く、レベルが高く、門前の小僧には四苦八苦でした。(苦笑)

鎌倉で、のんびり老後のつもりが、家族内の事情で、10年前に、夫婦で東京生活になりました。東京では、若い時習った謡曲を始め、同窓会で「吉野天人」「羽衣」等を披露したりしました。謡曲は、歌う楽しさと、日本中世の追体験をする喜びがあります。そして、SNSの、歌謡曲を歌う混声合唱団に参加。ハンドルネームの世界で楽しく・・。そんな中、東日本大震災。暫くは、マーラーの交響曲と、R.シュトラウス晩年の「四つの最後の歌」(エリザベート・シュワルツコップの歌)しか耳に入らずで・。この曲で人間性の奥底に迫る歌唱の力を知りました。その後、社交ダンスの魅力に惹かれ、5年間楽しく踊って過ぎ、気が付いたら「門前の老いたる小僧」でした。(笑)
通っているジムのスポーツボイスで、歌う楽しさを体感し、ヴィエントに、遅ればせながら入れて頂きました。ヴィエントは、笑いに満ち、和やかな雰囲気で、谷口ひとみ先生のご指導の素晴らしさが、歌う楽しさを増します。ハーモニーの中で、自然に歌える様になりたいと思っています。

 


 

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