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杉並の風
 
 傾聴の精神
栗山 稔朗 (S40 経)
 
 私は、学生時代、学生相談員(スチューデント・カウンセラーズ、略称SC)として活動しました。サークルの目的は、先輩学生による後輩学生のための支援活動です。
 入学した1961年当時は、安保闘争、学生運動が激しかったころです。塾内の雰囲気は騒然としていました。そんな時期に杉並三田会会員でもある山本 雄一さん(1963年経済卒)が創設したサークルです。

2010年には当時の清家 篤塾長をお迎えして創立50周年を祝い、来年2020年に60周年を迎えます。 

 活動の中心は、オリエンテーション(オリエン)期間中に相談コーナーを開設し、日吉構内の施設案内、履修相談、各種クラブの案内、エモーショナルな相談もなかにはありました。入学したが、何をしたらよいかわからない、クラス担任は高校時代と違って愛の手を差し伸べてくれない、クラスメートも語学はクラス単位でも、他の授業の大半は各自ばらばらに受講で、交流が深まらない状況でした。  

 相談活動開始前には、学生相談室のカウンセラーの先生方の指導の下、夏合宿、春合宿で学生相談員としての心構え、カウンセリングの理論、技法の習得を行いました。
 実際の相談場面を想定した、ロールプレイングを何回も経験し、オリエンに臨みました。部室もなく、オリエン後は、西校舎地下の空きスペースに机と椅子を置いての相談活動でした。   
  
 当時は六大学野球が華やかな頃で、春の慶早戦が終わるころには、1年生も少し落着き、悩みも解消していったようです。夏には「サマーミーティング」を主催し,教授方との交流や参加塾生との対話を通じての友人作りのお手伝いもしました。
実社会に巣立ち、私は4年間のSCの経験がとても貴重であったことに気が付くのです。
カウンセリングの基本は傾聴の精神です。相談者(カウンセラー)は来談者(クライアント)を一人の人間として受容し、尊重し、寄り添い、来談者自らが問題解決に向け努力することをサポートすることが目的です。 
    
 サラリーマン時代、中間管理者になり、部長になり、部下を抱えたとき、部下を一人の人間として大事に育成し、鍛え、人間関係を構築することに努めました。
 現代は機械化が進み、職場には従業員一人一人にPC配置、子供もパソコンゲームに熱中、若人も4人麻雀ではなく、コンピューターで一人麻雀、職場での指示も口頭ではなく、PCで…などなど、人と人とのコミュニケーションが希薄になっているように思います。メールの文章では行間が読み取れず、誤解が生じがちですが電話での会話で、誤解が解けることもよくあります。一番良いのは対面でお互いに目と目を合わせての対話です。
 会議で発言の多い人はかなりいますが、他人の発言に耳を傾ける人は意外に少ないものです。会議でもカウンセリングの基本である「傾聴」が重要な要素を占めるのです。人間、歳をとると聴力、集中力が落ちます。夫婦間でも言った、聞いてないで喧嘩が始まります。肌の触れ合いもさることながら、目と目を合わせての話し合い、傾聴が大切です。
杉並三田会でも「傾聴」の精神が大切と痛感しています。会員の一人一人が「傾聴」の精神を大事にし、杉並三田会活動を更に実りあるものにしたいものです。    
              


 

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