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杉並の風
        
 銘仙に魅せられて
古後 利佳 (S56文)
皆さんのタンスにお着物ありますよね。                         どんな方もお持ちだと思います。
ご本人は持っていなくても、奥様に聞いてみてください。
絶対5枚はあります。                                   手を通さずに、しつけもかけたままでって言う方もたくさんいることだと思います。そのお着物の中で、特に、大正から昭和の初期に一世を風靡したのが銘仙です。           
秩父や足利、伊勢崎などで作られていたお着物です。        絹織物がやっと庶民の手に入るようになった頃のものです。ですので、決して高級な着物ではなく、普段着で着る質の悪い絹で織られた布で作られた着物です。  
着物って形が決まっているので、この頃布の柄で勝負していたようです。                   芸大の生徒たちにデザインさせた柄などもあったようです。                         
色とりどりのドット柄や、アーガイル柄や、タータンチェックなどもあります。                 
バラをデフォルメしたものもたくさんあります。    
テニスのラケット柄などもありました。
お金が貯まるとされているツボ柄や、運を引っ掛ける蜘蛛の巣柄など。     見ているだけで楽しくてワクワクします。
残念ながら、もう持っていないのですが、上高地帝国ホテルをデザインした柄で作ったお着物がありました。これは、草履も同じ柄を使っていました。そこが粋ですよね。                   
本当におしゃれな時代だったんだなと思います。                               
ただ、昔のお着物は袖の長さや丈が合わず着ることは難しいです。                    
こんな素敵な柄をほっておくなんてありえない!と思い、10年前に友達とお洋服にすることを始めました。                                                         
着物をほどいて、洗って、アイロンかけて布にしてスカートやワンピースや日傘にしています。     
  毎回毎回、着物を解きながら、昔の人って素敵だなって思います。  全身この柄って目立ったろうな。まあ、目立ってなんぼのもんだったんでしょうね。  

残念なのは、布としてとても弱いので、気に入って着ていると、あら、お尻の所が横に裂けているわ!っていうはめになることです。                                          
皆さんのお着物は、わざわざ皆さんの体に合わせて作られたものです。ほどいたりせず、時々眺めるだけでいいので、タンスから出して見てください。                               
ちょっとした優雅な時間を手に入れられることでしょう。         

 
 


 

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