僕はあまり意識したことが無かったが、妻に度々指摘されて驚異的な嗅覚の持ち主だと自覚するようになった。先ずは食べ物が腐ってるかどうかの判別だ。台湾育ちの僕としては食べる前に「大丈夫」かどうかを先ず匂いで判別していたが、どうやらアメリカと日本育ちの妻にはその能力が超人的に見えるらしい。台湾ではとにかく物が腐るのが早い。食べ物、牛乳、さらには水も、それぞれ腐った時の匂いが有る。それをどう学んだかって、それはもちろん一度(以上)は口に入れた経験があり、その驚異的な嗅覚時のパニックと恐怖と共に、不滅の記憶が形成されたわけだ。
嗅覚に関してはNYで通ったフレンチの料理学校の先生たちにも指摘された。嗅覚にちょっと自信があったのだが、僕がナッツの缶を開けた瞬間、教室の反対側から「ナッツが古い!新しいのにしよう!」と先生に注意された時にはビックリした。超能力だ。超人的な嗅覚の僕でさえ、知らない匂いを判別するスピードはその特定な匂いを知っていて、排除しようとしている人には追いつかない。しかし台湾で無限の階調で嗅ぎ慣れているニンニクの火の入り具合の判別力は、フレンチ学部だったのにイタリアン学部の先生に転部のお招きの声がかかった程だ。
2020年に日本に帰ってからは料理学校で嗅覚がかなりパワーアップしていたことに気づく。今まで考えたことが無かったが、善福寺川沿いをランニングしていると、犬猫が「いた場所」が匂いで判るようになっていた。(要はお小水の匂いだ)さらに、就活で面接に知らない街へ出向くと、「たくさんの人の匂い」がして、しばらく歩くと決まってアパートや団地に遭遇する。これは色々考えたが、未だ人類の幸せのために有効活用する方法が見つかっていない。
料理学校でも教わったが、要はそれですね。先生に「お前の鼻は特殊だ、人類をもっと幸せにする為に役に立たせなさい」と言われたし、相手・お客様に愛情と真心を持って最善を尽くすこと。そうすれば嗅覚も含めて、もっと人類を幸せにできるかもしれない。
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