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杉並の風
 
 私説 南河内風土記 (続き)
 
近江岸 敏明 (S49 商)
 
 4.道明寺

 神仏混交の明治以前は現在の道明寺天満宮と真言宗の尼寺(蓮土山道明寺 真言宗御室派)は同じ敷地に同居していました、当家の墓は尼寺内にありお寺さんとは長年の付合いです、この尼寺の素晴らしさは掃除の行届いた境内の佇まいと高齢ながらモダンな庵主さんの人柄で、貴女は知る人ぞ知る大阪の有名人です。
 因みに関西風桜餅は当地の道明寺餅が由来で、*道明寺粉を原料に作られています。
 菅原道真は大宰府配流を控え当寺で伯母覚寿と別れを惜しんだとの伝承が残っています(歌舞伎 菅原伝授手習鑑「道明寺の段」)
                   ⋆道明寺粉 蒸したもち米を乾燥して挽いた保存食品
            
   
尼寺の境内      関西風の桜餅「道明寺餅」 
 
 5.二上山( にじょうさん 又は ふたがみやま )

 河内・飛鳥の境にある双耳峰、河内側から雄岳(517m)雌岳(474)と連なり印象深い山です、南河内平野の何処からでも眺められ、その優美な姿を見つつ古の飛鳥人が万葉集を詠んだかと思うと感慨ひとしおです。
 二上山雌岳西麓で旧石器時代から弥生時代に続く石器産地があったと確認されています、打ち欠くと鋭いエッジが立ち(石包丁)として近畿各地に供給されていたようです、二上山文化圏が成立。
 又、雌岳東麓には当麻寺や、相撲発祥の地「相撲館けはや座」が在ります、734(天平6)年 当地出身の当麻(たいまの)蹴(け)速(はや)と出雲出身の野(の)見(みの)宿(すく)禰(ね)が戦い、宿禰が勝利した故事に因み建てられたミュージアムです。          雄岳はつまらぬ山で繁茂した樹木で視界不良、壬申の乱の敗者大津の皇子の墳墓が在ります。
反面雌岳は頂上が開けていて西には河内や泉州平野、東には飛鳥盆地が一望です。
        
   
奈良側より見た二上山      大津の皇子の墳墓 宮内庁管轄 
 
6.竹ノ内街道(峠

 司馬遼太郎の「街道を行く」にも描かれた古道です、司馬は尋常小学校時代母の実家であった竹ノ内街道の村落に住まい、彼の心象風景の基礎を成したと記しています、今では急な坂をうねうねと縫って走る鄙びた田舎の細道ですが、当時は大陸と大和朝廷をつなぐ 日本一の国道でした。(古代の国道一号線)
 長安を発した隋の使節団は東シナ海→筑紫の浦→瀬戸内海→堺→竹ノ内街道と旅程を重ね飛鳥の宮に達します、なぜ仁徳天皇陵や応神天皇陵のような巨大建造物を街道の脇に作ったのかと云うと、外国使節団に大和朝廷の偉大さを誇示する必要が有ったと云れています。
 現在は堺から奈良の橿原まで国道166号線が走っていますが、国道の格が随分下がりましたね、付近に竹ノ内街道歴史資料館がありこの街道が古代日本の大動脈で在った事が解説され感慨深いです。
        
   
.暗峠(くらがりとうげ)

 古来大阪(河内)と奈良を結ぶ最短ルートがこの暗峠越えでした、かっては伊勢参りに盛んに利用されましたが何と云っても現在この国道308号線は日本屈指の酷道と称されています、驚きの最大傾斜26度!、又すれ違い困難な狭隘路で有名です、河内側からは近鉄奈良線「枚岡駅」脇より入り早速の急登坂、徒歩80分で標高455mの峠に着きます、私はオートバイで上りましたが常識外の急傾斜で登坂の途中で停まろうものなら転がり落ちるかと大変な恐怖を覚えました、自動車で登る豪傑もいますが住民の軽トラが降りて来ればすれ違いでパニックです。(登りで一度止まれば再発進が困難!)
 次回は得意の自転車で挑戦したいですがどうなる事やら、一回も足を着かず登る競技会が有る程、関西サイクリストの脚試し人気スポットです。

  
想像を絶する急勾配 峠の頂上で昔からの茶屋、
奥に見える信貴生駒スカイラインと立体交差 
8.河内弁講座

 「ワレなにかしてケツカンね!」 標準語訳「あなたはなにを言っているのですか?」
 「ワレのどタマ、カチ割ったろか!」   「あなたの頭を割ってあげましょうか?」
 
 9.おしまいに

 かっての北ベトナムの首都ハノイは漢字で表すと「河内」 そう大阪府の河内と同名です。
ベトナムの「河内(ハノイ)」は雲南と南シナ海を結ぶ交易路にあたり、太古より随分栄えたようです。
 わが河内も堺や難波江の港より、ハノイ同様、大和飛鳥に至る歴史街道(昔の国道一号線)の一端を担い大和朝廷の繁栄を大いに支えた事でしょう。

 何しろ河内の地は歴史遺物がごろごろ埋まっている地です、うかつに庭は掘れません、もし遺跡が出てきたら大事件!公になれば建設工事は何年もストップ、おまけに調査費用は土地所有者の負担です。
 冗談でしょうが、もし遺跡が発見されれば夜の内に潰して素知らぬ顔で工事進行、とまことしやかに語られています。




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