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バヌアツ 国 民---  地上で 最もハッピー?
 
太田 辰幸(S38経)
  
バヌアツがどこにあるかご存知でしょうか。昨年3月初めて訪れましたが、ちょっと記憶に残る国でした。三週間滞在の瞥見、雑感を記してどんな所か紹介してみましょう。
バヌアツは豪州の北東沖、フィジーの西に位置する80余の群島からなる、人口わずか24万人、新潟県ほどの小国です。この国がわれわれにあまり馴染みがないのは、1980年英仏共同統治領から独立し現在の名前に変わってからまだ30年ほどしか経っていない、またこの国とは他の南太平洋島国と比べ交流が少なかったためでしょう。独立するまでニュー・ヘブリデス島と呼ばれていました。かの著名な英国冒険家キャプテン・クックがスコットランド北西沖のヘブリデス諸島に似ていたことから18世紀後半に命名したとか。
 
      バヌアツ国エファテ島北部ビーチ
  この国の特記すべきことは、機中で読んだインフライト雑誌記事に「同国の住民は世界178カ国中最もハッピー」とあったことです(英国研究機関の調査結果。日本は95位、英国は108位)。これは平均寿命、生活満足度、環境負荷度の三つの要因によって幸福度指数を算出したものですが、どうも彼らの人生観は違うようで、共同体、家族、人々への善意を大切にしており、一人当たり国民所得では貧困国グループにも入る国で、物質的豊かさに恵まれなくても幸せを見出しているようです。短い滞在でしたが、首都ポートビラであった人々はフレンドリーで親しみやすく、治安もよく、警戒感、不愉快な思いをすることもなく、チップを受け取ろうとしなかったホテル従業員に会ったのは初めてなど、いままで訪問した途上国とは一味違う感じでした。
この国のあまり知られざる意外な一面として、バンジー・ジャンプの発祥地であること、軍隊がない国、世界でも有数の税率の低い国(所得税はゼロ)、南太平洋には珍しい国際金融センターが置かれている国でもあります。世界で最も近くで安全に見られる大迫力の活火山ヤスール(昨年5月NHKで放映)などの観光資源もあります。実は先般の大戦の勝敗の帰趨を決めたガダルカナル島での半年の戦闘で米軍にとって重要な役割を果たした国でもありました。米軍は1942年3月同国北部のサント島を占領し、ここに飛行場を設け、200km西北のソロモンのガ島進攻の最前線の拠点とし、ここは終戦まで延べ50万人が駐留した重要基地でした。なお、私も見たミッチー・ゲイナー主演のミュージカル映画「南太平洋」の原作「南太平洋物語」は作家ジェームス・ミッチナーが大戦中に前記サント島に派兵され、島の娘と恋に落ちた体験から生まれた。年初に見た映画「山本五十六」にもありましたが、ガ島攻防の日本軍敗退の2ヶ月後、彼の同乗機は飛行予定の暗号を解読した米軍によってソロモン島西のブーゲンビル上空で撃墜されました。ルーズベルトの指令”Get Yamamoto” が忠実に執行された、というわけです。
 
   
   バヌアツ財務省ビルから見た
     首都ポートビラの町:正面はマーケット
今回滞在中に首都のあるエファテ島北部にもあった米軍基地、飛行場の跡なども見て回りましたが、まさに強者共の夢の跡、感慨深いものがありました。




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