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 「フィドル」と「ヴァイオリン」-同じ楽器?違う楽器?
西 守 (S45 経)
 
私は、杉並三田会では、分科会の一つの「The Cedars(カントリーを楽しむ会)」に所属しており、総会後の懇親会などで演奏させて頂いています。
ここでは、小生が演奏しているカントリーやアイリッシュで使われる「フィドル」という楽器について、皆様からよく聞かれる「フィドルってどういう楽器?ヴァイオリンとどこが違うの?」についてお話し致します。
1 まずはヴァイオリンの簡単な歴史から
(1) 擦弦楽器の先祖はアラビアの「ラバーブ」
大昔から、ヴァイオリンのように弓(毛の部分は馬のしっぽの毛)で弦をこすって音を出す「擦弦楽器」は存在しており、大本はアラビアのラバーブという擦弦楽器だそうです。これがヨーロッパに伝わって中世には「フィドル」や「レベック」と呼ばれる擦弦楽器となり、
又逆方向の東へ行って、モンゴルの「馬頭琴」や中国の「二胡」になったと言われています。
(2) ヴァイオリンは突然16世紀半ばに完成品として出現
上記通り、ヨーロッパには古くから伝統的擦弦楽器がありましたが、ヴァイオリンは1560年頃に本当に突然「今のヴァイオリンとほぼ変わらない完成された楽器」として、イタリアのクレモナでアンドレア・アマティ達により作られました。1565年頃にアマティによって作られたヴァイオリンが今も現存しています。
その後17世紀になり、クレモナでもっとも有名な製作者で現在も名器として名高いヴァイオリンを製作した「ストラディヴァリ一族」や「グアルネリ一族」が現れました。
(3)19世紀に若干の改良が2点あり
このようにヴァイオリンは16世紀半ばに発明された時にすでに楽器としてほぼ完成していましたが、19世紀になってから
① あご当ての発明(これにより、ハイポジションの活用等演奏方法が画期的に進歩)
② それまでのガット(羊の腸)弦からスチール弦に変更(音が格段に大きくなった)
という2つの改良がなされ、現在に至っています。

2 ヴァイオリンの出現により「フィドル=ヴァイオリン」となった
ヴァイオリンが16世紀半ばに発明されると、あまりにもその性能が卓越していたことから、それまでの伝統的擦弦楽器は急速に駆逐され、17世紀ころにはアイルランド等で使われていた「伝統的楽器」のフィドルもヴァイオリンにとって代わられ、結果的に「フィドル=ヴァイオリン」になった経緯で、同じ楽器で単に演奏の仕方が違うだけというのが結論です。

3 余談:「屋根の上の『ヴァイオリン弾き』」は間違い?
日本でも有名なこのミュージカルの原題は、Fiddler On The Roofで、Violinist On The Roofではありません。19世紀の帝政ロシア時代のユダヤ人の寒村が舞台なので当然『フィドル弾き』が正しいのですが、ただこのミュージカルが日本に紹介された1960年代では日本人にとって「フィドルって何?」(今でもそうですが<汗>)だったので、敢えて「ヴァイオリン弾き」という題にしたのだと思います。

4 最後に:フィドルのアメリカへの伝播
ヨーロッパからアメリカ新大陸への移民は16世紀から17世紀頃に始まりましたが、移民の中心だったケルト民族(スコットランド&ウェールズ、アイルランド出身)の人たちが、アメリカにフィドル(ヴァイオリン)を持込みました。彼らは昼間の厳しい農作業が終わると、夜に近隣の人たちが集まり、一人がフィドルを弾き始めるとその周りでみんなが踊り、仕事の疲れをいやしていたそうです。
これが、小生の演奏しているアメリカのカントリー音楽のルーツとなっています。  
 
 
 


 
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