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世 界 の 祈 り 
久津 正行( S26経 )  
  かつて、こういう事が有ったろうか、昨3月11日の東日本の大災害に大袈裟にいえば世界中が心を痛め、祈ってくれたのである。
 日本が経済支援をしてきたような小国の途上国でも個人、子供、小さいグループ、企業、NPO団体、政府自体、夫々が心のケアー、経済的の支援、医療やインフラに関する協力など、夫々の出来る範囲で、協力を惜しまなかった。折り鶴であったり、小銭の貯金箱であったり、心からの見舞いの意思表示であったり、世界の情報のグローバル化はいつの間にか、距離の遠近や、貧富の別なく明らかに広がっており、瞬時に“深くて温かい祈り”が世界各地から寄せられたのである。
翻って、この20年略毎年、知己の多いスイスを中心に欧州を訪ねて現地の新聞、テレビの論調や、知識層の対日観を気にしてきたが、最近特に評判が落ちてきた。
それと云うのも経済大国を誇りにする日本の政治家、官僚、マスコミの中には、この20年世界の情報のグローバル化が、此処まで進んでいる事に気が付いていない人が少なくない様である。即ち、今日日本での言動が津波の様に瞬時に世界のメディアに伝播している事実を体感出来ていないのである。従って世界を見据えていない視野の狭い発言がおおすぎる。且つあまりにも朝令暮改が目立ってきていて、日本政府への信頼度はすっかり下降してしまった。
その顕著なものは昨年1月末の世界経済フォーラム(所謂ダボス会議)で菅首相はTPP参加を軸に日本の世界に対する役割を積極的に果たしてゆくと、世界にメッセージを高く掲げたのである。しかも英語の同時通訳が流れ、スクリーンにはご丁寧に骨子が日本語と英語で映し出された。

 一方民間である、日本の知識層、大小の先進的企業、技術開発者、芸術家の大半は第二次大戦後、世界の中で成長し、世界に生かされて来たのである。その殆どは和魂洋才で日本人の優秀な資質を世界にアピールしてきている。かつ民間の思考パターンはグローバル化されており、内向きの政治家、官僚とは年年かなりの格差が出来てしまった。
 更に、この震災で日本人の固有の文化から滲み出た冷静さや不屈不撓の精神は世界から賞讃の言葉を浴びせられている。国民の平均化された高質の知能は世界でも高い。
いいコンダクターがいれば日本の再生は存外短期間で充分期待できそうである。

 今、東日本復興が日本の新しい成長の鍵だと言われている。第二次大戦後、驚異的復興を果たしたように、この復興が単なる復旧でなく、新しい価値観による開発的復興によって、創造的モデルを作る事で世界をリードする機会を与えられたとも考えられる。素晴らしい事に世界がそれを応援している。
一日でも早く実現して”世界の祈り”にお返ししたいものである。

      




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