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杉並の風
      
–新時代に適応した“この国のかたち” を!― 国家観を持とう 
 
生田 正治(S32 経)
  
TPPや郵政問題等、最近の政治の流れを見ると多くの場合消費者や利用者である一般国民の利益、延いては国益に対する視点は乏しく、専ら供給者の立場で考え、その当面の既得権や利益の擁護が目的になっている事が多い。それはTPP関連で農業や酪農において顕著であり、そして郵政民営化の基本を実質的に放棄する法改正も同様だ。例えば、米・小麦・酪農製品に対する補助金や極めて高い関税障壁の故の高価格は廻りまわって米・パン・麺類・乳製品等の物価を通して消費者である一般国民負担してる。 なのに間接的なので当事者である消費者自身にはその認識が殆どない。そこで一部の政治は供給者側を支持した方が選挙の際の集票と資金協力に直結すると考え、その様に行動する。郵政事業の民営化放棄、旧態維持もいずれ大きな国民負担と政治の不公正を厳しく看視すべきだ。 
平成に入ってから24年間、総理大臣は合計17人。小泉さんの5年半は別格として他の方々は半年~1年程度。平成18年以来7年間続けてお正月には新しい総理がテレビで新年のご挨拶となる。まさに新春気分は盛り上がるが、これ程軽く総理が替わるようでは総理として国家経営のvisionを示す暇もない。政治屋は1~2年の政局と自らの選挙対策で動き、政治家は20~30年先の国益を考え、国家ビジョンをもって政治を行うと言われる。今こそこうした本格派の政治家が待望される。ちなみにこの24年間、アメリカの大統領は4人、フランスは3人、韓国は5人、中国の総書記は2人、イギリスの首相が5人、ドイツが3人だ。

 明治期には維新を経て官民挙げて、高い公徳心をもって近代国家の建設、そして世界の一等国になろうと云う国家観とvisionがあり、国民の努力があった。「坂の上の雲」の世界である。大正から昭和初期にかけては、軍国主義、遅れて出て来た帝国主義的国家観が国家の進路を誤まらせた観がある。そして敗戦。戦後は復興期から成長期にかけては経済優先主義。バブルの崩壊以降は浅薄な民主主義の弊害とモラルの低下が顕著だった。そして今は?

 TPPや郵政論議を見ても残念ながら国民経済的視点抜きで既得権や旧態の維持に汲々とした議論が展開されており誠に嘆かわしい。このままではいずれ日本はアジアの小振りの取るに足らない国となってしまう。もう踏みとどまるべき時だ。21世紀の深まりに向けて何とか早く新しい国家観とビジョンを形成し努力しなければならない。

 私は国家の品格と国民生活の質において世界の一流を目指すべきだと考えている。そして成長著しいアジアに、そして世界に門戸を開き、自由貿易態勢の下で競争力を磨き、世界に通用する国を創るべきだ。世界の流れに反し、国家の門壁を高くし、閉じこもった国が栄えた例はない。




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