杉並三田会ホームページ
杉並の風
      
INVITATION TO THE 山
 
笠原 煕 (S31 法)
 
 
霧ヶ峰 八島ヶ原湿原
(H19.06.30)

    
   私は皆に山を歩いて自然に親しんでもらいたいと思っています。高い山の「登山」でなくてもいい。近くの里山でいいのです。山の美しさ、山歩きの楽しさを知ってもらいたいと思う。かく言う私は足の不具合により、もう「山」と称するところには行けなくなったのに無責任な話ですが敢えて申し上げたい。
 杉並は東京の中でも山に行き易いところです。近くには高尾山。その先の中央沿線の山。青梅線に入れば奥多摩の山々。西武新宿線から所沢を経て飯能の先の奥武蔵の山。新宿から小田急沿線の丹沢の山そして、小田原を経て箱根や伊豆の山々。探せば沢山ある。手強い山もあるがやさしい山もあります。
 人里近くぬくもりを感じさせる里山。ツツジやウツギの花薫る峠の道を行けば、歩む足許にはスミレやキジムシロが春の日の光を受けて山路をかざります。
静寂な森の空気を切り裂いて鳴く鳥の声はホトトギスでしょうか。千古の森を行けばブナの巨木が無言の威厳をみなぎらせます。水晶の輝きを散らして流れ下る渓流。轟々とほとばしり落ちる滝・・・・。
   

            「爽秋」
       棒の嶺(奥多摩)山頂から
          (H14.11.06)
 

         「シラネアオイ」
    尾瀬 山の鼻から鳩待峠への途中
         (H04.06.14)
   山を楽しむと自然の美しさを知り、それがかけがえのないものであることがわかります。私は働きに働いた―家族と現代文明のために。でも後世に何を残しただろう。現代文明は畢竟自然破壊です。私は残すどころか、自然を壊すのに加担しただけではないのか。そして疲れた心や体を癒やしてくれるのは、人工宇宙船の地球号に僅かに残された自然です。また、これほど自然を壊さなかった100年も200年も前の音楽や絵画です。今私が後世に残せるものは僅かに残された自然しかない。これ以上自然を穢してはいけない。なくしてはいけないと思います。
 
 

 笠取山(奥秩父)への途中 一休坂で
   (H21.05.03)
   

       間の岳から目指す北岳へ
      (南アルプス:H04.7.31)
     
 私は44歳の時に行った高尾山が山歩きの初めです。頑健でない非力の私ですが、登れそうな山を探しては訪ねました。高尾山はその後27回行きましたし、尾瀬は11回訪ねました。アルプスの山々や東北の山にも登れるようになりました。そして無念の両足のしびれ。最後の北アルプスの山は平成14年の2泊3日の大日連峰縦走です。あの時見た眼前の剣岳の豪壮な姿と足許に咲く可憐なチングルマの花の風情は決して忘れません。
 私は「ハイキング散策の会」、「気ままに歩こう会」のお世話になっておりますが、これからも出来るだけお世話になるつもりです。私には山には感謝の気持しかない。どうか皆さんも、山道を歩き自然と親しんでいただきたいと思うのです。




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